Gitzo G1226 MK2とManfrotto MVH500AHとNEEWER NW-10

 今回記載する三脚のセットは、前回ご紹介したSachtler Ace Lよりも前に購入した三脚で、Gitzo(ジッツォ)の三脚とManfrotto(マンフロット)のビデオ用ヘッドを組み合わせたものです。
 ジッツォの脚は、2000年頃に写真撮影や16mmカメラでタイムラプス撮影をするために購入したもので、現在は廃盤のようです。写真用の雲台とセットで購入したものから雲台を取り外し、マンフロットのビデオ用ヘッドを取り付けて動画撮影用の軽量三脚として使用しています。

写真 tr03_photo_01
G1226 MK2、MVH500AH、NW-10の組み合わせ

脚部 ジッツォG1226 MK2

 今回組み合わせているセットの中で最も高価なパーツが、脚部のジッツォ三脚です。25年ほど前に購入した製品で、現在は廃盤のモデルです。カーボンではなくアルミパイプの脚ですが、ジッツォ製品としては小型なこともあり、比較的軽量です。
 脚を畳んだ状態で、脚の先端から雲台の取り付け部分までの長さは50cm脚を全て伸ばして三脚を立てると、雲台の取り付け部分まで120cm。センターポールを伸ばすと147cm。ここにビデオヘッドを取り付けてカメラを載せると、レンズの位置は170cm程度と高さは十分です。最大まで脚を伸ばした状態でもねじれやたわみはほとんどなく、流石のジッツォと思わせる安定感です。

 センターポールを使った昇降機能はビデオ用三脚にはない機能で、細かな高さ調整が必要な場合にはとても便利です。
 ジッツォの三脚は脚を大きく開くことができ、センターポールを短いものに交換するとかなり低いアングルまで対応できるのも特徴の一つです。tr03_photo_02で脚の取り付け部分にある「GITZO」とプリントされたグレーのパーツを引き出すことで、脚の開脚角度を広げることができます。

写真 tr03_photo_02
ジッツォG1226 MK2の脚取り付け部分

 ただし、ジッツォ製品は比較的高価で、ショートタイプのセンターポールも簡単(に見える)な部品の割に結構な値段なため、私は持っていません。そもそもセンターポールの交換はそこそこ面倒で、撮影中にローアングルが必要になってサッと行えるような作業ではありません。ローアングル撮影にも対応できるという程度で、ローアングル撮影が必要な場合にはその用途の機材を用意した方が便利なように思います

 軽量な割に脚部の剛性が高く大変優れた三脚なのですが、伸縮が面倒なのが難点です。脚の伸縮部のネジを緩めて操作をするのですが、このロック・アンロック操作が面倒な上に、脚パイプの太い方の固定ネジの締めが甘いと細い方の脚パイプが空回りして固定ネジが操作できないといった面倒さもあります。
 レバー式のロック方式に比べて、このロック方式はパイプの外径全体を締め付けるために固定力が高いという利点があるのですが、伸縮操作にはやや時間がかかり、撮影の準備、撤収、撮影中の高さ調整などで時間を取られるのは残念な点です。

写真 tr03_photo_03
丸パイプの外径全体を締め付けるタイプの脚の伸縮ロック機構は保持力が高いものの、伸縮操作には時間がかかる

ヘッド マンフロット MVH500AH

 このヘッドは現在も販売されており、メーカーホームページでの定価で26500円、実売で15000から17000円程度と、ビデオ用ヘッドとしては安価な製品です。
 カメラ重量によるティルト方向の負担を軽減するカウンターバランス機構が入っていますメーカーホームページによると、2.4kgのカメラでバランスが取れるよう調整されているようです。残念なことに、カウンターバランスは解除することはできません。ヘッドの価格からみてカウンターバランスの調整機構を組み込むのは難しいでしょうが、カウンターバランスのあり、なしの選択機能は欲しかったところです。軽いカメラを載せた場合には、カウンターバランスが邪魔な場合があります

 ヘッド本体のデザインは、中央部分が空洞になった独特な構造です。この中空部分のスペースが無駄に感じ、中空部分を無くして小型化して欲しいところです。また、スライドプレートを固定するネジが取って付けたようなデザインで、シャフトの細い華奢なネジなために運搬中に、曲げてしまわないか不安になります。
 パン・ティルトの粘りは比較的好感の持てる操作感です。パン・ティルト時の摺動部のサイズの大きさが操作感の滑らかさを確保しているのかもしれません。前回紹介したSachtlerのAceには及ばないものの、価格を考えると悪くない操作感です。

写真 tr03_photo_04
MVH500AHを斜め前から

 このビデオ用ヘッドには水平器が取り付けられています。tr03_photo_05で左側に飛び出している水平器は、この後で記載するNW-10という水平調整用パーツの水平器で、ビデオ用ヘッドの水平器は写真中央辺り、パン固定ネジの上側にあります。水平器が付いているのは良いのですが、ヘッドを前側にティルト操作しないと上から覗きにくい位置に取り付けられており、ちょっと気の利いていない取り付け位置です。
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写真 tr03_photo_05
MVH500AHを斜め後から

水平出しに便利なNEEWER NW-10

 写真用の三脚にビデオ用ヘッドを取り付けた場合の課題の一つが水平調整です。パン操作時の水平維持を考えると、水平調整機構は欠かせませんが、写真用の三脚にはこの機構が盛り込まれていない製品がほとんどで、ジッツォの三脚も例外ではありません。
 そこで、NEEWERというブランドのNW-10というパーツを脚部とヘッドの間に組み込んでいます。このパーツは、ビデオ用三脚のボールヘッド機構をコンパクトなサイズにまとめたような製品です。

写真 tr03_photo_06
NW-10には水準器が取り付けられています
写真 tr03_photo_07
NW-10のロックレバーは引き出して角度を変えられる「ラチェット」式で操作性は良好

 ボール部分の加工精度が高いのか、水平調整後の保持力が高くパン・ティルト操作時に水平が動いてしまうといったことのない優秀な製品です。重量のある大型なカメラならばともかく、ミラーレスカメラ程度の重量ならば問題なく使用できます。tr03_photo_08、9が左右いっぱいに傾けた状態で、調整角度の幅も従分だと思います。

写真 tr03_photo_08
NW-10を右いっぱいに傾けた状態
写真 tr03_photo_09
NW-10を左いっぱいに傾けた状態

 2018年に購入したもので、現行モデルはGM15という製品にアップデートされているようですNEEWER GM-15のAmazon商品リンクはこちらです。

まとめ

 電車など公共交通機関での移動で、朝の通勤時間帯などの混雑時に大型三脚を持ち運ぶのは気が引けるものです。そんな時に、ここで紹介した組み合わせ程度のサイズの三脚は比較的邪魔になりません。また、重量的にも運搬での疲労感がほとんどない重さで、長距離の徒歩移動がある撮影でも負担なく持ち運べます。
 メインの三脚として使用するにはもの足りないものの、繊細なカメラワークがあまり要求されない撮影や、ワンマン撮影で2台以上のカメラが必要な場合の2台目以降用の三脚として重宝します。ここで紹介した組み合わせが最適という訳ではありませんが、こういった組み合わせで小型で軽量な動画用のサブ三脚を用意しておくと便利です。
 このセットは、Manfrottoの三脚バッグ 70CM MB MBAG70Nに入れることができます。このバッグのAmazonの商品リンクはこちらです。

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