FCPのメディアを統合
ライブラリメディアの保存場所を変更
FCP(Final Cut Pro ファイナルカットプロ)で、ライブラリ作成時に設定したメディアの保存場所は、作業途中でも変更が可能です。「〜メディアを統合」というメニューで実行します。「〜」の部分は、操作時に「ライブラリ」、「イベント」、「プロジェクト」のどれを選択するかによって変わります。
メディアの保存先が、ライブラリの内外、両方になってしまった場合に、「統合」することを目的にしてのコマンド名なのでしょうが、「移動」と呼んでも良い気もします。
INDEX
ライブラリメディアの保存先
FCPのライブラリには、メディアの保存先について2通りの選択肢があり、ライブラリの内部に設定している場合と、ライブラリの外部に設定している場合があります。この設定は、ライブラリのインスペクタの、「ストレージの場所」で確認できます。
この機能を使うと、メディアの保存先をライブラリの内部から外部へ、あるいはその逆に変更することができます。また、読み込んだメディアが、ライブラリの内部に保存されたものと、ライブラリの外部に保存されたものと、混在してしまった場合に保存先を統一することもできます。
(ライブラリの内部にメディアを保存する設定は、「FCPでライブラリをつくる その1」を、ライブラリの外部にメディアを保存する設定は、「FCPでライブラリをつくる その2」をご覧ください。)
メディアを統合する処理は、ライブラリを対象にして実行するだけでなく、イベント単位、プロジェクト単位でも実行可能です。それぞれの場合について記載します。
「ライブラリメディアを統合」の場合
「ライブラリメディアを統合」では、
- ライブラリの外に保存されたメディアを、「ライブラリ内」にコピーする
- ライブラリ内に保存されたメディアを、「ライブラリ外の指定したフォルダ」にコピーする
という操作ができます。
操作は、ライブラリを選択して、
- メニューバー→ファイル→ライブラリメディアを統合
- ライブラリのインスペクタの「メディア」項目で、「統合」ボタンをクリック(50_fig_01)
- 右クリック→ライブラリメディアを統合
をすると、50_fig_02の画面が現れます。
「メディアの出力先」で、新たに設定したいメディアの保存先を指定します。「メディアの出力先」の右をクリックして、ライブラリ内(ライブラリ名)か、ライブラリ外の保存先を選択します。ライブラリ外の保存先は、「選択…」を選んで保存先を指定します。
移動する対象を、「オリジナルのメディア」、「最適化されたメディア」、「プロキシメディア」から選択して、「OK」をクリックすると処理が始まります。
ライブラリ内からライブラリ外へ変更した場合、ストレージ上の、ライブラリの「パッケージの内容」に保存されているメディアファイルは、エイリアスに変更され、メディアファイル自体は、指定したライブラリ外のフォルダに移動されます。
ライブラリ外からライブラリ内へ変更した場合、ライブラリ外に保存されていたメディアファイルが、ライブラリ内にコピーされます。ライブラリ外のファイルはそのまま残ります。
メディアの読み込み時に、ついうっかり「ファイルの保存先」の設定を変えてしまい、メディアファイルが「ライブラリ内に保存」したものと、「ライブラリ外に保存」したものと混在してしまった場合などに、保存先を統一することができて便利な機能です。
「ライブラリメディアを統合」を実行すると、ライブラリの「ストレージの場所」は、自動的に変更されます。「ストレージの場所」は、ライブラリのインスペクタで確認できます。
「イベント」を統合の場合
「イベントメディアを統合」の場合は、イベントを選択して、
- メニューバー→ファイル→イベントメディアを統合
- イベントを右クリックで「イベントメディアを統合」
で実行します。統合先や、対象メディアを選択する画面(50_fig_07)の表示以降は、「ライブラリメディアを統合」と同じです。
イベント単位で「統合」作業を行う用途があるとしたら、編集時の素材データが増えすぎて、作業途中でイベントごとに映像メディアのストレージを分ける必要が生じた、といった場合でしょうか。私には経験がありません。
「プロジェクト」を統合の場合
「プロジェクトメディアを統合」の場合は、プロジェクトを選択して、
- メニューバー→ファイル→プロジェクトメディアを統合
で実行します。統合先や、対象メディアを選択する画面(50_fig_08)の表示以降は、「ライブラリメディアを統合」と同じです。
プロジェクト(タイムライン)のクリップが参照するメディアの保存先を変更した場合、そのクリップが格納されているイベント内のデータにも変更が及びます。つまり、イベント内のクリップが参照するメディアファイルの保存場所も変わってしまうのです。プロジェクト単位で、この「統合」作業を行う利点が今ひとつ思い浮かびません。
こういった、メディアファイルの移動操作も全てFCP上からおこなえる設計は、Finder操作に依存せずアプリ内でファイル管理まで完結するという、「FCPの話」で記載した「iOS的な操作感」だと思います。実際のところ、Finder上でFCP関連のメディアファイルを移動すると、リンク切れを起こす心配があり、こういった機能はありがたいです。