M3 MacBook Proに128GBメモリーは必要?
1週間ほど16インチ M3Max MacBook Proを使った印象です。前回記載したように、Core i 9 MacBook Proからの買い替えなのですが快適です。Core i 9モデルはGoogle Chromeを立ち上げるだけでファンが回る、スクリーンセーバーが立ち上がるだけでファンが回ると熱問題に難ありだったのですが、M3モデルに買い替えて未だファンが回った音を聞いていません。
購入時に悩んだ仕様の一つがメモリ容量なのですが、Final Cut Pro(ファイナルカットプロ 以下FCP)で編集などの作業をしてみた際のメモリ使用量について記載します。
INDEX
アクティビティモニタ
Macには、CPUやメモリの使用量を表示するアクティビティモニタというユーティリティアプリがインストールされています。アプリケーションフォルダのユーティリティフォルダに入っていると思います。
このアプリは複数のウィンドウから構成されていて、pc02_fig_02が全てのウィンドウを表示した状態です。このウィンドウのうち、「アクティビティモニタ」ウィンドウで「メモリ」タグを開くと、各プログラムのメモリ使用量などが表示されます。ウィンドウ下部には、そのMacに搭載した総メモリ容量と現在使用中のメモリ容量が表示されています。
pc02_fig_02は起動中のアプリが「Finder」「CotEditor」「アクティビティモニタ」の3つだけの状態です。「Finder」はほぼMac OSそのものと考えていいでしょう。「CotEditor」はMac用のテキストエディタアプリで、こちらが公式サイトです。軽快に動作するアプリで、詳しい仕様は判りませんがそれほどメモリを消費するアプリではなく、アクテビティウインドウ中央の表示を見ると約118MBのメモリを使用しています。「アクティビティモニタ」もそれほどメモリを消費するアプリではなく、約114MBのメモリを使用しています。意外とバックグラウンドでメモリを消費しているアプリが多く、この状態でメモリ使用の総量は23GB弱です。
メモリの運用ってこんな感じ?
MacBookシリーズでもAirなどは8GBメモリのモデルもあります。上記のように、テキストエディタとアクテビティモニタを立ち上げただけで23GBもメモリを使うのでは、8GBモデルでは何ができるのかと思わされます。しかし、恐らくは搭載されたメモリ容量に合わせてアプリが使用するメモリ量が変動するのではと思います。
例えばSafariでホームページを閲覧する場合、メモリ搭載量が多ければ縦に長いページの広いエリアをメモリに読み込んで素早くスクロールできる、メモリ搭載量が少なければスクロール動作とともに逐次読み込みエリアを追加する、或いは複数のタグを開いているときメモリ搭載量が多ければ複数のページをメモリに読み込んだ状態を保ち、メモリ搭載量が少なければタグを開く度に再度読み込みをするといった具合で調整しているのだと思います。
これはビデオ編集アプリなどの使用時にも同じような動作となり、例えばFCPの場合はメモリ搭載量が多ければ長いタイムラインのより広いエリアをメモリ上に展開してスクロールが滑らかになる、メモリ搭載量が少なければタイムラインの一部だけをメモリ上に展開し、スクロールする度に次のエリアを読み込むといった動作をする結果、スクロール動作がややぎこちなくなるといった違いになるのだと思います。同様にFCPでのプロジェクト(タイムライン)の読み込みでも、複数のタイムラインをメモリに展開できるかなどの違いになるのではと思います。
Safariでのホームページの読み込みやFCPでのタイムラインやプロジェクトの読み込みだけでなく、FCPでインスペクタを開くなどの機能切り替えでも、その機能を動作させるためのプログラムを機能の切り替え操作ごとにメモリ上に展開するのか、あるいは一度に複数の機能をメモリ上に展開できるかといった違いで、作業のスムーズさに違いが出ているように感じます。
Core i 9マシンの購入当初と最近
こういったメモリの動作は、最近のCore i 9マシン使用時に顕著に感じていました。FCPでタイムラインのスクロールに時間がかかる、プロジェクトの開き直し、開き足しに時間がかかる、エフェクト設定のためにインスペクタを開くのに時間がかかるといった具合です。
Core i 9マシンは32GBメモリを搭載したモデルで、購入して2年ほどはFCP、Chrome、Safari、プレビュー、メールの5つくらいのアプリを起動した状態で快適に動作していました。しかし、Mac OSがAppleシリコンに正式対応した頃から徐々に動作に違和感を感じるようになり、OSのアップデートを重ねるごとにメモリ不足や処理能力の不足を感じるようになりました。ここ数ヶ月ほどは、FCPでの作業中は極力他のアプリを終了しておかないと処理が酷く遅くなり、FCPでバックグラウンドレンダリングが始まるとテキストエディタでの文字入力さえまともに動作しないような状態でした。
恐らくはOSやアプリのアップデートでFinderやアプリの使用メモリ量が徐々に増えていったためにメモリ不足が起こるようになったのでしょう。また、あくまで推測ですがOSがAppleシリコン対応になることで、Intelチップに最適なメモリの使い方ができなくなったのではと考えています。
M3Maxで複数アプリを立ち上げてみて
M3Maxに買い替えて、FCPに加えてメール、Safari、Chrome、プレビュー、AdobeのIllustrator、Photoshop、そしてCotEditorを立ち上げても、アプリを切り替える際にもたつくようなこともなく快適に作業ができています。また、FCPのバックグラウンドレンダリング中でも、他アプリの動作に遅延を感じるようなことはありません。
上記のアプリを立ち上げたときのメモリ消費量は約52GBでした。Appleシリコン上でのMacOSのメモリ使用の効率性にもよりますが、複数のアプリを開いた状態で快適に編集作業を進めようと思うと少なくとも64GBは搭載しておいた方が安心なように思います。
ただし、Appleシリコンで30GB程度のメモリ搭載量のマシンが先ほど記載したCore i 9マシンのようにもたついた動作になるかというと、恐らくそんなことはないと思います。Core i 9マシンの場合はOSの仕様がIntelチップ向けでないことが致命的な速度低下につながっている可能性があり、Appleシリコンモデルでは僅かにもたつくといった程度の違いではないかと思います。それは、Core i 9マシン購入当初は32GBメモリで軽快な動作だったことからも推測できます。
GPUメモリ
画像処理を主に行うGPUという演算回路でも、GPU用のメモリ容量が処理速度に影響するそうです。Appleシリコンの場合はMシリーズチップの内部にGPUを内蔵していて、GPUのためのメモリはMac本体のメモリを共有しているようです。GPUの演算のためにも、メモリには余裕があった方が有利なように思われます。まだ使用期間が短いのでなんとも言えませんが、FCPからの完成映像の書き出し速度が、Core i 9マシンとM3MaxとのCPU等の性能アップ以上に高速になっているように感じられます。この速度アップの一因はメモリ容量の余裕がGPUの処理速度に貢献しているのかもしれません。
もちろん、18GBや36GBといったモデルの場合は、それに見合ったアプリケーション用のメモリの使い方をしてGPU用のメモリを残すのでしょうが、それでも余裕があった方が処理速度の向上が期待できます。映像編集などGPU処理も相応に必要な作業用途に使用するのであれば、メモリ容量は余裕があった方が安心なようです。
まとめ
購入済みのパソコンの話なので、心情的に購入した仕様がアタリだったという感想になりがちですが、128GBモデルを選択して良かったかなと思います。アクテビティモニタを確認して、128GBも使い切らないじゃないか、というメモリ使用状況だと残念な思いをするかもしれないと不安な面もあったのですが、上記のようにメモリ容量を使い切らないということはなさそうです。
私の場合、ビデオ編集をしながらアプリの操作や編集中の内容について調べ物をすることもあるので、FCPとSafariやChromeを同時に起動することが多いです。編集をしながら台本を修正したり修正の指示書を確認するために、テキストエディタやWord、Excel、PowerPoint、プレビューなどを起動するといった機会もあります。静止画像の編集でIllustratorやPhotoshopを同時に開いて作業を行うことも多いです。
メモリ容量のアップグレードは、48GBから128GBへの変更だとプラス15万円と安いMacBook Airが買えそうな金額になるので躊躇しますが、こういったアプリを同時に開きながらの作業であればメモリの搭載容量は64GBはあったほうが良さそうです。さらにGPU用のメモリを考えると、14コアCPUモデルの96GBメモリや16コアCPUモデルの128GBメモリが安心なように思います。