MacBook Pro M3 Maxに買い替え
2019年に購入したMacBook Pro15.5インチ、2.4GHz 8core i9/Radeon Pro Vega20/32GBメモリモデルを使ってきたのですが、ここのところ受注する作業でパワー不足を感じたので、パソコンを新調することにしました。
INDEX
Intel Macの処理状態
MacBook Proは、主にAppleのFinal Cut Proを使ったビデオ編集に使っています。FHDの編集やそれほどエフェクトを加えていない4Kタイムラインならば、上記のcore i9モデルでもまだまだ充分なのですが、静止画を何枚も積み上げてアニメーション処理を加えるような編集だと、すぐにプレビュー再生ができなくなり、レンダリングにもかなり時間がかかります。また、書き出しも約3分の動画を書き出すのに40分かかったりと、かなりマシンのパワー不足を感じるようになってきました。
core i 9マシンも購入した2019年から2021年頃までは快適だったのですが、Mac OSがAppleシリコンに正式対応した頃からIntelチップがエミュレーションモードで動いているようなぎこちなさを感じるようになりました。具体的には、マルチタスク処理時に極端に処理速度が落ちたり、メモリ不足を感じるようになりました。
また、Final Cut Proに搭載された「声を分離」機能を適用すると、「しばらく寝かせてから」でないと激しくノイズののった音声になってしまうなど、Ai処理への対応の面でもAppleシリコンへの買い替えの必要を感じていました。
タイミング
タイミング的には今年の秋か2025年の春頃にはMacBook ProもM4チップに刷新されそうなので、昨年秋のM3MacBook Pro発売時に決断しておけば良かったのにという残念なタイミングです。しかし、ここ数日の気温の上昇に伴ってIntelチップの処理速度の低下が顕著で、夏期の編集作業がかなり不安な状態だったため買い替えを決めました。元々購入した頃からGoogle Chromeを立ち上げるだけでファンが回り出すほど熱対策に難のあるモデルでしたが、夏場に室温が数度上がると処理速度への影響が予想されます。
円安や海外の物価高の影響で決して安くはない買い物ですが、仕方ありません。そもそも5年も使ったのだし、何よりマシンのチップがIntelからAppleシリコンに代わったというのがタイミングの悪いところでした。
スペック
買い替えにあたってMac Studioも魅力的だったのですが、設置場所や年間にほんの数回ですが持ち出す必要もあり、MacBook Proにしました。チップ構成は、現在使用中の機材の処理能力に不満があっての買い替えなので、16コアCPU、40コアGPUタイプを選択しました。悩んだのがストレージとメモリの容量です。
Core i 9マシンはメモリを当時最大の32GB、ストレージはアプリだけを本体に入れて、編集データは全て外部ストレージで作業をする前提で1TBモデルにしました。この使い方で500GBを消費して500GB残る目安です。
ストレージは同じ1TBでも良いかとも思ったのですが、後から変更できないことや今後OSやアプリの容量が増した時にギリギリになってしまうのを避けるために2TBにしました。メモリも64GBで良いかと悩んだのですが、Core i 9モデルの32GBで不足気味なことを考えると64GBでは長期的に不安があり、最大の128GBモデルにしました。この構成で85万円です。前回購入時は55万円ほどで随分奮発した気分だったのですが、それよりもはるかに高額な出費になってしまいました。
移行アシスタント
昔はパソコンの買い替えといえばデータの移し替え作業が面倒でしたが、近年では移行元、移行先のMacで移行アシスタントアプリを立ち上げて指示通りに操作すれば殆どの作業が完了し、とても楽です。ケーブルでの接続も必要なく、WiFiでデータの転送が済んでしまいます。
ただし、いくつかのアプリはIntelバージョンからAppleシリコン用のバージョンに入れかえる必要がありました。入れ替えの必要があったのは、AdobeのアプリシリーズとFinal Cut Pro用のエフェクトプラグインを管理するFXFactoryというアプリ、ワコムの液晶タブレットのドライバです。まだIntel Mac用の最新バージョンを作っていたのかと、寧ろ感心したくらいです。(明示的にAppleシリコン用のアプリへの入れ替えの指示が表示されたのはAdobeのアプリだけなので、FXFactoryとワコムのドライバは別の理由で入れ替えが必要だったのかもしれません。)
Adobeは、Adobe Creative Cloudアプリを入れ替えてから、このアプリ上からインストール済みのアプリをアンインストール→再インストールをするだけです。
FXFactoryの方は、「アプリケーション」フォルダからアプリを手動で削除した後で、FXFactoryサイトからダウンロードしたアプリをインストールして完了です。古い方のアプリを捨ててからでなくては、上手くインストールできませんでした。
ワコムの液晶タブレットはCintiq13HDというかなり古い機種を使っていて、最初はペンを全く認識しなくなり「買い替えかな」と焦ったのですが、ドライバの更新とセキュリティ関連の調整で問題なく使えるようになりました。セキュリティ設定は、以前に私が書き換えてしまったための不具合かもしれません。10年以上前の機材をサポートしてくれていて、ワコムさん感謝です。
また、クリップスタジオペイントというアプリを時々使っているのですが、このアプリは使用するパソコンが変わることをアプリに認証させる必要がありました。この認証は1回程度が限度なようなので、次回パソコンを買い替えるとアプリの買い直しが必要になりそうです。機能の割にとても安価なアプリなので、仕方ないかと思います。
処理速度
概ねのセットアップが終わってから、現在作業中のFinal Cut Proプロジェクトを再生してみました。Core i 9マシンではレンダリングが必要なタイムラインが再生可能になるなど、それなりに買い替えの恩恵はあるようです。ただし、エフェクトを多用した部分などこれまでと同様に滑らかに再生できない部分もあり、「劇的な変化」というほどではないかなと思います。ネットで参考にしたベンチマークテストの結果程度の能力向上という印象です。
また、書き出しに40分かかった3分のプロジェクトを書き出してみると、4分ほどで書き出しが完了して驚きました。流石に10倍高速化する筈はないので、書き出し時の気温の違いなども影響しているのだと思います。また、Core i 9での書き出しでは、散々編集作業をしてパソコンがかなり熱を帯びた状態だったのに対して、M3Maxでの書き出し作業はプロジェクトを開いて即書き出しと、マシンに対する負担のかけ方の差もあるのではと思います。処理速度自体は、AppleのMacBook Proの商品ページやベンチマークテストを掲載しているサイトを見る限り、2から3倍ほどの処理速度が期待できる程度だと思います。
ただし、かなり発熱するIntel Core i 9チップに比べて比較的発熱の少ないAppleシリコンは、サーマルスロットによって処理速度が落ちるまでに余裕があり、その面でチップ本来の性能差以上の処理能力差が現れる可能性はあります。何本かの編集を終えてみないと、マシンスペックの向上を実感するのは難しいところです。今後使用を続けて期待以上の処理速度向上や、逆に期待以下な結果があれば記載します。