RODEの初代Wireless GOとWireless GO2
RODE(ロード)というメーカーのワイヤレスマイク、Wireless GO(ワイヤレスゴー)について記載します。最近多く見られる、小型の送受信機のセットで構成されたワイヤレスマイクの走りとなる製品ではないかと思います。製品の発表当時では、考えられないくらい小型のワイヤレスマイクのセットということで、ワクワクしながら国内での発売を待ったように記憶しています。

初代Wireless GOの送信機と受信機
INDEX
電波法と機材価格
電波を使うことについての法律があり、ワイヤレスマイクもこの法律に沿って製造され、認証を受けています。Wireless GOは海外で先行して発売され、日本国内での販売開始前からAmazonなどで並行輸入品と思われるものが販売されていました。しかし、海外製品の場合、国内での電波法に対する認証を通っているかにに疑問があり、私は国内販売の開始を待ってから購入しました。確かSYSTEM5で購入したと思います。
a03_photo_02で側面に見える番号が認証番号で、「208-190186」と記載されています。総務省の電波法の認証を受けた機器を検索するサイトでこの番号を検索すると、ちゃんと「WIRELESS GO」と表示されます。

側面に、電波法に適合している認証を受けていることを示す技適マークとその登録番号が記載されている
この電波法が案外厄介で、時々改正されます。携帯電話やWifi、Bluetoothといった電波を使う機器が次々に登場するので仕方ないのでしょうが、電波法の改正のためにワイヤレスマイクの買い替えを余儀なくされるといったことを何度か経験しています。1度目は1986年の改正で移行期限が1996年まで、2度目は2005年の改正で移行期限が2022年までだったところを、コロナの影響で2024年末まで延期されたようです。20年間隔程度の改正ならば、機材の対応年数を考えるとそれほど大きな負担ではないように思えますが、購入したタイミングが悪いと予想より早期に買い替えが必要になってしまいます。
こういった電波法の改正に伴う買い替えの必要性を考えると、あまり高価な機材を導入するのは躊躇します。その点で、Wireless GOのセットは1ペアのセットならば2.5万円程度と驚くほど安価です。

初代Wireless GOのセットには、録音機へ接続するためのカールコード、送信機に内蔵されたマイク用のウインドジャマーが付属する(充電用のUSBケーブルも付属していたと思います)
小型軽量
Wireless GOは、安価なことに加えて非常に小型なことも大きなメリットです。最近は小型のワイヤレスマイクのセットが各社から発売され、Wireless GOのみが特に小さいという印象は薄らいできました。それでも、一般的なビデオ取材で使われてきた従来のワイヤレスマイクに比べると、驚くほど小型です。送信機、受信機のセットで、従来のワイヤレス機器の送信機1個よりも小さいサイズです。
機材が小さいことは運搬の負担が少ないだけでなく、送信機を話者の衣服などに隠す場合にも大きなメリットになります。従来の送信機はズボンのベルトにクリップで留めるといった方法が主流だったのに比べ、Wireless GOの送信機ならば衣服のポケットに入れることができます。また、重量も軽いため、上着の内ポケットなどに入れても重さで衣服が垂れ下がるといったこともありません。

送受信機やコードなどの付属品が収納できるケースが付属する
音質
小さく軽量なこともあって内蔵される音声部品の品質はどうなのかと気になりますが、音質の点で従来のワイヤレスマイク機材に聴き劣りするといったことはありません。私はWireless GOと同じメーカー製のRODEラベリアというピンマイクと組み合わせて使っていますが、インタビューなどでの用途に使う上で音質面での不満はありません。
また、ラベリアをカメラのマイク入力に直接接続した場合と、Wireless GOを経由した場合で音質の差は感じません。Wireless GOの音声入出力やワイヤレス送信での劣化はほとんど無いように感じます。ただし録音する機材との組み合わせによっては、結果は異なるかもしれません。私はSONYのFX30やBlackmagicdesignのBMPCC4Kとの組み合わせで使っています。

送信機にはマイクが内蔵されていて、ラベリアマイクを接続しなくても使用できる

受信機には、音声レベルを調整するボタン(dBと表記されたボタン)があり、音量を3段階で調整できる
通信の安定性
ネットの書き込みを見ていると稀に混信したという事例を見ますが、私はこれまでWireless GOを使って混信で困ったことはありません。インタビューなどを収録することが多く、比較的静かな室内での撮影が多いためかもしれません。
従来のワイヤレスマイクでは、混信するトラブルをしばしば経験してきたので、Wireless GOを持参しての撮影では予備として長めのマイクケーブルを用意し、ワイヤードでも収録できる準備をしています。しかし、予備のケーブルを使う必要があったことは、今まで一度もありません。
Wireless GO2は2波
Wireless GOの発売からだいぶ経ちますが、数年ごとにアップデートされた製品が新たに加わってきました。Wireless GO2は2個の送信機と1個の受信機がセットになっていて、1セットで2波の受信が可能です。対談での録音に便利なほか、複数人のインタビューを順次撮影していくような場合に、撮影中に次の方に送信機を装着して頂くといった使い方にも便利です。
2波の収録は、受信機からステレオ2チャンネルにミックスして出力するモードと、LR左右のチャンネルに分けて出力するモードを選択することができます。LRで分けて収録しておけば、編集時に音声をデュアルモノ設定にすることで、2トラック別々に音量などの調整ができて便利です。

Wireless GO2は送信機2個と受信機1個のセットで、2波受信できる

Wireless GO2の受信機は2波の受信設定を小さな液晶画面で巧みに表示している
1フレーム遅れ
デジタルでのワイヤレス送信のためか、若干の音声の遅れがあります。収録時に手を叩くなどタイミングのズレがはっきりとわかるようなテスト撮影をしてみると、1フレームほど音声が送れるようです。
ただし、映像の収録や編集では、様々な理由で画面と音声のタイミングにズレが生じます。まず、映像と音声では光と音の速度の差からズレが生じます。光の速度は通常の映像撮影では無視して良い速さですが、一方の音声は被写体との距離によって到達時間に影響が出ます。
音の速度は秒速340mです。14m離れている被写体が発した音は24fps撮影ならば1フレーム遅れます。30fps撮影の場合は、11m離れていると1フレーム遅れます。これは気温15度のときで、音の速度は暖かくなると速くなり、寒くなると遅くなります。
またアナログビデオの時代は、フレームシンクロナイザーという映像のフレームのタイミングを揃えるための機材を通すと、音声に対して映像が1フレーム遅れました。デジタルでの編集の場合、こういった映像と音声のズレがエフェクト処理によって発生することはありません。しかし、ライブ映像の場合は加える処理によっては映像側に遅れが生じる可能性はあると思います。
また、フィルム映画の場合は映写機の機構上、映像と音声は微妙にズレが生じます。画像を映写する部分の1フレームずつフィルムを移動させる機構に対して、音声再生部分では連続的にフィルムを移動させます。この移動タイミングの違いを吸収させる「ループ」という、いわゆるフィルムの「たわみ」の設定量によって画面と音の再生タイミングに微妙なズレが発生します。ループの設定量は映写機を操作する人それぞれに微妙に異なり、特に16mmフィルムの映写ではプラスマイナス1フレーム、つまり2フレームくらいのズレはあるのではと思います。
このように、映像と音声では様々な要因で微妙なズレが発生するため、ワイヤレスマイクの音ズレのみを神経質に補正する必要はないように感じます。気になった時にズレの原因を考慮しつつ補正すれば、十分なように思います。
バッテリーは内蔵型
Wireless GOシリーズは内部に充電型のバッテリーを内蔵し、バッテリー交換はできません。購入する際に音質や送受信時の電波の安定性と共に気になったのが、このバッテリー内蔵型なことです。ロケの途中でバッテリー切れを起こしても交換することはできません。また、バッテリーが経年劣化で消耗すると、本体ごと買い替えとなってしまいます。
ただし、Wireless GOのセット自体がそれほど高価でないことから、バッテリーの経年劣化が気になったら本体ごと買い替えても、従来型の乾電池式のワイヤレスマイクのセットよりも安価に済むかもしれません。また、連続使用時間が極端に長い収録でなければ、ロケの合間にUSB接続のモバイルバッテリーで充電するといったことも可能です。
バッテリー自体の経年劣化についても、初代Wireless GOの購入から数年経ちますが、極端なバッテリーの劣化は見られません。使用頻度にもよりますが、案外バッテリーの寿命は長くもつかもしれません。

Wireless GOシリーズはバッテリー内蔵で、バッテリー交換はできない
バッテリー充電時の表示
私が買った製品には、文字情報を極力減らしてイラストと最小限の文字で理解できるようデザインされた説明書が付属していました。最低限の使い方はわかる洒落たデザインの説明書なのですが、バッテリー充電の際にどういった表示で満充電なのかの説明がありませんでした。
以下にWireless GO充電時の表示について記載します。
充電時のLEDや液晶表示の状態を見てみると、
送信機は初代Wireless GO、Wireless GO2共に
- チャージ中は青いLEDが点滅
- 青いLEDが点灯で満充電
のようです。

Wireless GO、Wireless GO2共に送信機の充電時には、充電ランプが青く点滅
受信機についてはWireless GOとWireless GO2で表示が異なり、
初代Wireless GO受信機は液晶表示に
- 減った電池アイコンと雷マークが充電中
- 完全な形状の電池アイコンと雷マークで満充電

初代Wireless GO受信機の充電表示(この表示は電池アイコンが欠けていないので、満充電状態)
Wireless GO2受信機は液晶表示に
- 減った電池アイコンと雷マークが充電中
- 電池アイコンが完全な形状で、雷マークの表示がないのが満充電
のようです。

Wireless GO2受信機の充電表示(電池アイコンが欠けて、雷マークがあるので充電中)
まとめ
小型軽量で、手頃な価格が魅力なWireless GOですが、音質や送受信の安定性も他の(もっと価格帯が上の)ワイヤレスマイクと比べて遜色のない音質で収録が可能な製品だと思います。現在は様々なバリエーションが展開されていますが、基本性能がしっかりとしているので特に買い替えの必要は感じていません。
Wireless GO本体で録音をする機能などもありますが、収録時に無駄に素材を増やすと後で整理をするのが面倒なので、私は使っていません。
私はWireless GO送信機のマイクは滅多に使わずにピンマイクを接続して使っていますが、送信機本体のマイクも決して品質に問題はなく、同社のラベリアマイクを接続して録音した場合と送信機本体のマイクで収音した場合で大きな音質の違いは感じられません。
初代Wireless GOと同様に、1台づつの送受信機がセットになった製品は、現行品では「Wireless ME」という製品になるようです。ただし、Wireless MEの受信機には液晶表示は無いようです。Wireless MEのAmazonの商品リンクはこちらです。また、Wireless GO2のAmazonの商品リンクはこちらです。
RODEのワイヤレス製品のページをみると、その他にも32bitフロートという技術に対応した製品なども発売されています。