FCPのオーディオ構成と波形の高さ設定

 FCP(Final Cut Pro ファイナルカットプロ)のオーディオインスペクタにある「オーディオ構成」では、クリップ内のチャンネル構成を設定します。デュアルモノ設定など、多チャンネル設定で収録したクリップでは、必須の設定です。また、タイムラインでの音声波形のサイズ変更についても記載します。

オーディオインスペクタ

 クリップのオーディオ設定は、オーディオインスペクタで確認・変更します。インスペクタ画面左上のスピーカーのマークが、オーディオインスペクタの表示ボタンです。(36_fig_01左上)

オーディオインスペクタには、

  • ボリューム設定
  • オーディオ補正
  • オーディオ解析
  • パン
  • オーディオ構成

といった設定項目があります。

 イベントで選択したクリップを設定した場合、その後タイムラインに配置するクリップにも、その設定は反映されます。しかし、すでにタイムラインに配置したクリップには反映されません。
 一方、タイムラインで選択したクリップを設定した場合、そのクリップにだけ、設定が反映されます。(もちろん、そのクリップをコピーアンドペーストした場合は、ペーストしたクリップにも設定が反映されています。)

FCP画面 36_fig_01
オーディオインスペクタ画面

 ボリュームについては、「FCPの音量調整 その1 音量コントロールとキーフレームの操作方法」を、
オーディオ補正とオーディオ解析については、「FCPのオーディオ・ノイズリダクション その2 FCP標準搭載の4つのノイズ除去機能」をご覧ください。
 ここでは、オーディオ構成について記載します。

オーディオ構成

 「オーディオ構成」の表示は、タイムラインでクリップのオーディオコンポーネントを展開」した表示とほぼ同じです。上段はオーディオクリップを表し、下段はそのクリップ内の各チャンネルを表します。

 上段の右に、そのクリップのチャンネル構成が表示されています。ここに「ステレオ」と表示されているとき、下段はLRがセットになった一つのステレオチャンネルです。上段の「ステレオ」という表示をクリックするとメニューが表示され、チャンネル構成を変更できます(36_fig_02)。

 チャンネル構成を「デュアルモノ」にすると、ステレオチャンネルのLとRを分割した、2つのモノラルチャンネルとして設定できます。「リバース・ステレオ」にすると、左右を入れ替えたステレオチャンネルになります。

FCP画面 36_fig_02

デュアルモノ設定

 カメラの録音設定をステレオではなく、Lチャンネルをチャンネル1としてガンマイク、Rチャンネルをチャンネル2としてピンマイク、といったチャンネル構成で撮影する場合があります。こういったケースでは、チャンネル構成を「デュアルモノ」に設定します。

 複数のクリップを選択することで、同時に複数のクリップを設定できます。タイムラインにクリップを並べる前にまとめて設定しておくと、効率よく作業できます。もちろん、編集途中で設定することも可能です

 各チャンネルの左側にあるチェックボックスで、オーディオの有効・無効の設定ができます。デュアルモノにした2つのチャンネルのうち、チャンネル1のみを使用する場合は、チャンネル2のチェックを外して無効に設定できます(35_fig_03)。
 オーディオ構成で無効にしたチャンネルは、タイムラインでオーディオコンポーネントを展開しても表示されません。

FCP画面 36_fig_03

2チャンネル以上のチャンネル構成

 4チャンネル録音をしたクリップのオーディオ構成は、35_fig_04のように3タイプのチャンネル構成から選択できます。この画像のクリップは、FX30にXLRハンドルユニットを付けて収録したものです。

 5.1チャンネルサラウンド録音をしたクリップのオーディオ構成は、36_fig_05のように5タイプのチャンネル構成から選択できます。この画像のクリップは、小型のハンディカムCX12で収録したものです。
 ステレオで仕上げるのであれば、5.1チャンネルサラウンド音声を適当なチャンネル構成に変更後、メインのLRチャンネル以外を無効にして、不要な後方の音声をカットすることができます。

FCP画像 35_fig_04
FCP画面 36_fig_05

オーディオロール設定

 各チャンネルの名称は、オーディオロール名で表示されています。オーディオロール名の右にある下向きの矢印(35_fig_06のオレンジの丸で囲った部分)をクリックすると、オーディオロールを変更できます

FCP画像 35_fig_06

タイムラインでの音声波形表示

 タイムラインで音量調節をするとき、クリップに表示される音声波形が小さいと、細かな調節をしづらいです。音声波形の縦幅は2通りの方法で調整することができます。
 1つめは、映像と音声がセットになったクリップの、サムネイルと音声波形の比率を変更する方法です。2つめは、クリップそのものの表示サイズを変更する方法です。
 2つの方法とも、タイムライン右上にあるフィルムアイコンのボタンで、操作パネルを表示して設定します(36_fig_07のオレンジの丸で囲ったボタンで表示)。

時間方向の拡大

 36_fig_07の水色の矢印で示したスライダーで、タイムラインの時間方向の拡大・縮小ができます。波形の縦幅には関係ありませんが、重要な機能です。
 ショートカットは

  • command + -(マイナスキー)で縮小
  • command + +(プラスキー)で拡大
  • command + ^ で拡大

です。

FCP画面 36_fig_07

サムネイルと波形の表示比率を変更

 36_fig_07の黄色の矢印で示したボタンで、クリップのサムネイルと音声波形の比率を変更できます。
左から

  • 音声波形だけ(ショートカット control + option + 1 )
  • サムネイル小さめ、音声波形大きめ(ショートカット control + option + 2 )
  • サムネイル中くらい、音声波形中くらい(ショートカット control + option + 3 )
  • サムネイル大きめ、音声波形小さめ(ショートカット control + option + 4 )
  • サムネイルのみ(ショートカット control + option + 5 )
  • クリップ名のみ表示(ショートカット control + option + 6 )

です。control + option + ↑/↓ で、設定を順送りすることもできます。

FCP画面 35_fig_08
左から順に「音声波形だけ」から「クリップ名のみ」まで

クリップの高さ表示の調整

 36_fig_07の赤色の矢印で示したスライダーで、クリップの縦幅を調整します。黄色い矢印の設定で音声波形が表示されていれば、クリップの縦幅を拡大するほど、音声波形の縦幅は大きくなります。
ショートカットは、

  • command + shift + -(マイナス) で縮小
  • command + shift + =で拡大

です。
(「=」は、ノートタイプのキーボードだと、ショートカットとして動作しません。ショートカットのカスタマイズ機能、「^」などを使う組み合わせで追加登録することができます。)

FCP画面 35_fig_09
「サムネイル中くらい、音声波形中くらい」の設定で、クリップの縦幅最大(左)と最小(右)

 音量調節のためにクリップのキーフレームを操作するときは、音声波形の縦幅が大きいほど微妙な調節ができます。作業内容に応じてこれらの設定を切り替えると、画面の広さを有効に使うことができます。

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